2020/11/23
本日12/4(月)から12/9(土)は、日暮里繊維街の冬の大売り出し! なので、今回は勝手に連動企画「色々な生地でバッグを作ってみる。」をお送りします。
先日のバッグの選び方の解説記事では、素材の違いがバッグの使用感に大きく影響することを書きました。では、実際にどれくらい違うのか。実際に色々な生地でバッグを作り、蹴り比べてみるというのが今回の企画です。バッグ自作マニアの皆さん、この記事を読んで日暮里繊維街に急ぎましょう!
【共通仕様】
パネルパターン:4パネル(内径74㎜×37㎜のパネル/縫い代6㎜)
中身:IKKスチールショット1.7㎜ 60g
縫い糸:GUMデンタルフロス ワックス(1辺あたり70㎜)
縫い方は、比較的手早く縫うことができ、仕上がりが安定する手縫い4パネル。糸の長さは各辺70㎜で統一しています。中身は一般的なフリースタイル競技用のバッグに合わせて、1.7㎜の鉄粒を60g使用しました。
【生地のデータとテスト結果】
下記の13種類の生地でバッグを作り、 12/3(日)に都内某所の公園にて、NFA会員のプレーヤー数名にテストしてもらいました。評価は主にクリッパーなど、ストール系の技を行う際の使用感の評価が中心です。
①シャミー707J(ポリエステル65%・ポリウレタン35%/115㎝幅)
参考価格:4,860円/m(浅草ゆうらぶ)
裏地の無い薄手の人工スエードです。東レのウルトラスエード(エクセーヌ)と並ぶ競技用バッグの定番生地。人工スエード専門の生地屋以外では入手困難です。
評価:競技用バッグの定番生地だけあって、使用感はダントツの1位。
②レガR(ポリエステル95%・ポリウレタン5%/130㎝幅)
参考価格:4,536円/m(浅草ゆうらぶ)
シャミー707Jに似た裏地の無いタイプの人工スエード。シャミーに比べると少し厚く、ゴワツキがあります。一般手芸店ではオカダヤ新宿店で見た記憶があります。
評価:わずかな厚みや硬さの違いからシャミーに比べて転がりやすく、使用感は今一つ。価格帯も近いので、あえてこちらを選ぶメリットは無いでしょう。
③エコスエード(ポリエステル100%/148㎝幅)
参考価格:4,104円/m(ユザワヤ)
裏地の無いタイプの人工スエードで、シャミーやレガとは異なりフェルト風の手触りです。2015年にユザワヤ新宿店(現在は閉店)で購入。なお、縫う際に針が通りにくく苦労しました。
評価:シャミーほどではないものの使用感は高評価。生地の耐久性も高そうです。
④ポリエステルスエード(ポリエステル100%/110㎝幅)
参考価格:626円/m(日暮里トマト)
裏地のあるタイプの安価なスエード生地です。一般的な手芸店にあるスエード調の生地は、大半がこの裏地の付いたタイプです。
評価:少し滑りますが、使用感はまずまず。生地の入手性や価格、耐久性も高そうで、全体的にバランスが取れています。
⑤トイニット(ポリエステル100%/100㎝幅)
参考価格:1,050円/m(オカダヤ)
ふわふわした感触の起毛生地で、マジックテープが付く布として有名です。トイクロスやマジックスエードとも呼ばれ、大き目の手芸店で取り扱いがあります。
評価:ポリエステルスエードに近い見た目ですが、表面が滑りやすく、わずかに硬いことから不評でした。
⑥タッチロン(ナイロン100%/100㎝幅)
参考価格:1,190円/m(オカダヤ)
トイニットに似たマジックテープが付く布ですが、こちらはナイロン製。トイニットに比べるとかなり薄手で、生地表面に摩擦力がある感触。取扱店は少な目です。
評価:柔らかさと生地表面の摩擦により使用感は高評価。ただ、生地が薄いため耐久性には不安が残ります。
⑦二越ちりめん(ポリエステル100%/112㎝幅)
参考価格:1,720円/m(オカダヤ)
ポリエステル製のちりめんです。薄手の素材で、生地の伸びはほとんどありません。化繊のちりめんはレーヨン製が多いですが、今回は強度を考慮してポリエステル製を選びました。
評価:柔らかくて使いやすそうに見えましたが、実際にはストール時に中身が動くので使いづらいという結論に。
⑧蛍光アムンゼン(ポリエステル100%/112㎝幅)
参考価格:920円/m(オカダヤ)
ザラザラした梨地の織物です。こちらも薄手の素材で、生地の伸びはほとんどありません。蛍光色の他に通常色もあり、手芸店で広く販売されています。
評価:発色の良い見た目は高評価。使用感は評価が分かれ、滑りやすいという意見も。また、生地表面がほつれやすく耐久性にも問題がありそうです。
⑨ポリエステルギャバ(ポリエステル100%/150㎝幅)
参考価格:1,080円/m(オカダヤ)
ポリエステル製のツイル(綾織り)生地で、斜め方向にストレッチします。今回、使用した中では厚手で硬めの生地です。多くの手芸店で取り扱いがあります。
評価:生地が硬く、表面も滑りやすいため転がりやすく、残念ながら使用感は最も低評価でした。
⑩40スムース(綿100%/92㎝幅)
参考価格:810円/m(ユザワヤ)
Tシャツ等に使われる綿製のニット生地で、かなり伸びる素材です。定番の生地なので、手芸店に行けば手に入るでしょう。
評価:使用感は高評価。伸びる生地のため、長期の使用では変形の心配があるかもしれません。また、綿製なので耐久性にも不安があります。
⑪はぎれ(綿100%)/⑫手拭い(綿100%)/⑬はぎれ(麻55%/綿45%)
参考価格:108円(ダイソー)
100円ショップで購入したはぎれや手拭いです。いずれも薄手の平織りで、生地の伸びは少な目です。なお、⑬はほつれが多く、縫うのに苦労しました。
評価:ほぼ同じ使用感で、いずれも高評価でした。スムースに比べ変形は少なそうですが、耐久性の不安はあります。
なお、余談ですが32パネルバッグは縫い代が極端に狭くなるため、ほつれる生地は使用できません。上記の生地で32パネルに使えるのは①~③の裏地の無い人工スエードのみです。
【まとめ】
テストの結果、シャミー707JとレガR、ポリエステルスエードとトイニットのように見た目が近い生地でも、実際に使ってみると、かなり違いが出ることが分かりました。また、意外と評価が高かったのが⑩~⑬の薄手の綿系生地。中身に金属粒を使用していることもありますが、下手な市販のバッグよりもフリースタイルに使えます。お手玉の中身を金属粒に交換するのが、最も簡単なフリースタイル用バッグの製作法なのかもしれません。
それでは、最後にシチュエーション別のおススメ生地です。
A)性能を追求したい/32パネルのバッグを作りたい
①シャミー707Jの一択です。なお、今回の使用生地以外では東レのウルトラスエード(エクセーヌ)の薄手タイプ等もおすすめですが更に高額です。
B)縫いやすさや入手性、価格、生地の耐久性などバランス重視で沢山作りたい
④ポリエステルスエードが良いでしょう。
C)パフォーマンス用に目立つバッグを作りたい
⑧蛍光アムンゼンを使い、大き目のバッグを作ると良さそうです。
D)とりあえずフリースタイルに使えるバッグを作ってみたい
手軽に入手できる⑩~⑬のような薄手の綿系素材で作ってみるのが良いでしょう。